優秀なコーチとは
まずコーチとは何でしょうか?
コーチとは選手の得点(成績)を上げるために、助けてくれる人です。
そして助ける方法として、指導、助言といったものがあります。
そして、選手の得点(成績)を短期間で上げる。又は他の選手よりも得点(成績)が高い選手を育てた人が優秀なコーチと言われます。
では、アーチェリー部員が5名の部活があったとします。
その5名の得点(実力)がA、B、C、の場合、どのコーチが優秀なのでしょうか?
A 500点、520点、540点、560点、580点 平均540点 最低500点 最高580点
B 520点、530点、530点、540点、570点 平均538点 最低520点 最高570点
C 510点、540点、550点、550点、560点 平均542点 最低510点 最高560点
最高点の高いAのコーチでしょうか?最低点が低くないBのコーチでしょうか?それとも平均点が高いCのコーチでしょうか?
Aの場合、選手個人の能力を引き出したとも言えますが、単に優秀な選手がいただけとも考えられます。
Bの場合、基礎をしっかり教えているとも言えますが、全体的に能力を伸ばしきれていないとも考えられます。
Cの場合、指導方法がしっかり確立しているとも言えますが、個人の能力を伸ばしきれていないとも考えられます。
どのコーチが優秀なのかを、明確に答えるのは難しいです。そもそも、この問いである、A、B、C、どのコーチが優秀なのかを、選手の得点のみで判断する事が間違いなのです。
それならば、どのようなコーチが優秀といえるのでしょう。
始めの方にも書きましたが、コーチというものは、選手の得点(成績)を上げるために助けてくれる人なのですから、選手の持っている能力を多く引き出すことの出来る人が、優秀なコーチなのです。
100の能力を持つ選手から、40の能力を引き出したコーチより、50の能力を持つ選手から、30の能力を引き出したコーチの方が優秀なのです。選手としては40の能力を発揮した選手が勝ちますが、良いコーチにめぐり合えたとは言えません。

個人の能力を引き出すために、選手のやる気を出させる。効率的な練習メニューをつくる。その練習をさせる。選手個人に適切な助言(アドバイス)を行うのがコーチの役目です。
今までに出会った優秀なコーチから聞いた事を10個にまとめて見ました。
1.練習内容、その意味を説明する。
なぜ近射が必要なのか、なぜ弓を握ってはいけないのか、なぜハイトを毎回測るのか、これらの意味を説明する。
選手が練習内容を理解して、納得して行えば、当然その練習に取り組む意欲が高まり、技術を習得しやすい。
説明が無く、納得できない練習を続ける事は効率が悪いだけでなく、無駄な練習になりやすい。
2.上達したら、そのことを誉める。
練習の成果、効果が出ている。フォームが良くなったなら、まず誉める。
上手くなっているが、まだ不十分だとしても、以前より良くなっている事実を認め、その事を誉める。
普通より良くならないと、評価されないようでは、平均より下の人は、やる気を無くすからである。
3.良い所を先に言い、悪い所(直して欲しい所)は、後に言う。
良い所を、誉めることによって、選手がコーチに対して聞く耳を持つようになる。
悪い所を先に言うと、まず反発心が生まれて、その先の話を聞こうとしないからです。
4.真実を言う。
過大評価も、過小評価もせず、正確な事実を言う。
トーナメント戦で、実力的に劣っている場合に自信を持たせようとして、「練習のように打てば、勝てる!」のような嘘はつかない。
「上位者との戦いだから、勝てる可能性は30%以下しかない。」と現実を選手に伝える。厳しいと思うかもしれないが、事実だからこそ、選手も落ち着きコーチとの信頼関係もできる。
自信を持たせようとつく安易な嘘は、選手も嘘だと感じるているので、意味の無い言葉にしかならないからである。
5.間違いは素直に認めて、選手に謝る。
コーチの言うことだから、絶対服従。というシステムを作らない。
教える内容も時代によって変わっていく、コーチもそれに合わせて変わっていかなければならない。
選手と、コーチ、場合によってはコーチの方が間違っている場合もある。その時に素直に選手の意見を取り入れる事によって、コーチもレベルアップでき、選手の意見も採用することによって、選手も練習内容について意見を言うようになる。そして選手たちが決めた練習内容は、押し付けられた練習より熱心に取り組むはずです。
6.コーチから、選手に声を掛ける。
まずは会話から。選手と意思の疎通が出来ないようならば、選手から相談される事は無い。
「最近の調子はどうですか?」は、得点に関しての質問になりやすいので、答えが限定されるのであまり良くない。
「最近楽しくアーチェリーしてる?」というような質問だと、答えの範囲が、点数、友人関係、フォーム等と広くなり、選手も答えやすい。
アーチェリー関係以外の相談を選手からされたなら、それはコーチとして、人間として信頼された事を意味します。
7.選手の話は最後まで聞く。
選手の話、意見に対して、必ず最後まで聞く事。
間違った内容や、コーチと異なる意見であっても、選手としては真剣に話しているのである。
選手の話を真剣に聞かないと、コーチの話も聞いてもらえない。
特に小さい子を教える場合、相手の目線に合わせて話を聞くようにする。
8.夢を語る(明確な目標を示す)
インターハイとはどんな雰囲気なのか、国体選手になると、どんな良いことがあるのかを話す。
夢の無い目標に向かって走るのは大変だたらである。
9.その日の気分によって、行動を変えない。
その日の気分によって、判断の度合いを変えていたら、選手はコーチの気分の良い時にしか報告しません。
何か悪い内容の報告の場合、選手はコーチの顔色をうかがって、すぐにコーチへ報告しません。
報告が遅れると、それに伴う対応も遅れるからです。
10.過去の練習方法を変えるときは、一瞬で変わる。
より良い練習方法、内容を見つけたら、どれだけ早く変われるかが重要です。
過去の練習方法を引きずることなく、すばやく捨てる事が出来れば、最新の効率良い練習方法が早く得られるからです。
常に未来の練習方法を捜し求める事もコーチの役目だからです。
コーチに求められる能力は、知識、経験、実力などいろいろありますが、その中で最も重要だと思うのは、伝える能力です。言葉や行動で伝える能力が一番大切だと考えます。
なぜなら、実際に試合に出るのは選手なので、選手の考え、行動をいかに変えることが出来るかがコーチ能力の指標になるからです。
10人の選手の中で、何人の行動(練習への取り組み方など)を変えることが出来るか。どのくらい変えることが出来るか。そして、その変える方向がどの程度、正しいのかで、優秀なコーチかどうかが決まると考えるからです。
コーチがどれだけ知識を持っていても、どれだけ経験があったとしても、それを伝えない限り、相手は変わりません。
何度も繰り返し言う、身振り手振りを使う、別の何かに例えて説明する、相手の目を見て話す。こういった事に注意し選手に伝える努力をすれば、選手は大きく変わっていくと思います。
選手がコーチの言ったことが理解できないのは、選手が悪いのではなく、コーチの説明が悪いのです。
選手の能力を上げるために、コーチとして伝える能力の向上を努力しているコーチはどれだけいるでしょうか。
選手と共にコーチも努力しなければ、すぐに時代に取り残されてしまいます。
練習する選手は、強くなります。同じように、努力するコーチは良い指導が出来ます。
自分もコーチとして、選手を教えています。
優秀なコーチでありたいと、人から、書物から、又は失敗からも学んでいます。その中で選手に声を掛けるにも、「最近の調子はどうですか?」よりも、「最近楽しくアーチェリーしてる?」の方が良いと学んだ時、目からうろこが落ちたような気がしました。
何気無い質問に対して、限定された答えしか選手に与えていなかった事に気がついたからです。
選手からの話をよく聞くように努力はしています。しかしながら、選手がもっと話しやすくするように、質問の方法まで考える努力は十分していなかったからです。
それ以前に、話しやすくするように、質問の方法まで考えるという発想そのものが無かったのです。
それ以来、選手に声を掛ける時は、「最近楽しくアーチェリーしてる?」を使うようにしています。
