練習方法を変えてみよう

 まず、何のために練習をするのか? この答えは簡単で、今よりも高い点数を出したいからです。
 当たり前のような気がしますが、高い点数を出せる練習をしている人は意外と少ないのではないでしょうか?
 人は得点の伸びに悩むと、何かと練習量を増やしたくなる傾向があります。しかしながら、練習量を増やしたからといって、必ずしも得点の向上が見れるとは限りません。 何故でしょう?

 そもそも練習によって、何が得られるのか考えてみましょう。
1.体力の向上(筋力UP)
2.技術の向上
3.知識と経験の蓄積

この3つがあげられると思います。
 まず体力の向上(筋力UP)ですが、練習によって弓を引く筋肉が鍛えられ、その結果ポンドの強い弓を引けるようになったり、センターやVバーなどを付けることが出来るようになったり、押し手の震えが少なくなったりします。
 技術の向上では、リリースが滑らかになったり、アンカーの位置が正確になり、フォームの一定性が高くなります。
 知識と経験の蓄積では、風の中でどのくらい矢が流されるかを知り、道具の調整においては精度が高くなります。経験を積むことにより試合での緊張が和らいだりします。

 筋肉トレーニング(○○分)、近射(○○分)、距離射(○○分)、ストレッチ(○○分)という練習方法があるとします。
 初心者がこの練習方法を週2回行っているとします。そしてこの練習を週2回から週4回に増やしたとします。そうすると上達の度合いは約2倍になるでしょう。つまり週2回の練習では6ヶ月かかるところが、週4回の練習では半分の3ヶ月で達成できることになります。(正確に2倍になるかは、他の要素もあるので実際には不正確かもしれませんが、おおよそは納得してもらえると思います)
 つまりあるレベルまでは、練習したらその分上手くなるので、単純に練習量に比例するといえます。
 しかしながら中級者レベル以上の人が、この練習方法を週2回行っているとします。そしてこの練習を週2回から週4回に増やしたとします。この場合はどうでしょう?
 6ヶ月後の実力が、3ヶ月後に得られます。ここで問題なのは6ヶ月後の実力(得点)は、今の実力(得点)より上なのかどうかと言うことです。 6ヶ月後の実力(得点)が上がっている練習方法なら問題ないですが、6ヶ月後の実力(得点)が上がっていない練習方法なら、練習量を2倍にするには意味がありません。
 練習量を増やそうと考えてる人の多くは、得点が伸び悩んでいる人だと思います。その人は、今のままでは6ヶ月後の実力の向上が望めないから、練習量を増やそうとしているのですが、(実力の向上が望めない)6ヶ月後の結果が早く得られるだけで、練習量を増やすのは、はっきり言って無駄な努力です。
 付け加えるならば、筋肉トレーニング、近射、距離射、ストレッチという練習方法の内、距離射だけを増やすのは、さらに無駄な努力だと言えます。
 なぜなら、今の練習方法に問題があるので得点が伸びないのですから、その練習をさらに増やすのは、問題の解決にはなりません。
 たとえば、フォームに問題があるのであれば、射つ本数を減らしてでもフォームの改良を行うべきで、その悪いフォームで練習量を増やすのは無意味です。

 ではどうしたら良いのでしょうか?
 ここで考えて欲しいのですが、30年前と現代では、現代の方がアーチェリーのレベルが高いということです。30年前の得点は、現代の練習方法を行えば昔の練習量の半分で達成できます。
 水泳の例で言うと、日本女子選手の金メダル第1号になった前畑秀子選手、ベルリンオリンピック(1936年)の200m平泳ぎの優勝記録は、3分03秒6。同じ種目でバルセロナオリンピック(1992)の金メダリスト岩崎恭子選手の記録は2分26秒65です。
 2004年の全国中学校体育大会の女子200mの優勝タイムは2分29秒21、一番遅い記録でも2分47秒22です。
 全国中学校体育大会に出た中学生なら、58年前の金メダル記録である3分03秒6は、今の練習量の半分以下で達成できると言うでしょう。
 ですから、30年後には今の得点を半分の練習量で出せるようになっていると思います。
 つまり練習の内容が変われば、練習量が半分でも同じ点が出せるということです。
 昔の人に比べて今の人の方が根性があるとか、精神力が強いとかはまったく関係ありません。
 そこで考えてほしいのは、30年前の練習方法と、現在の練習方法、そして30年後の練習方法です。ひたすら射つだけの練習方法は、未来の練習方法でしょうか?それとも過去の練習方法でしょうか?
 今あなたが変えようとしている練習方法は、未来の練習方法でしょうか?それとも過去の練習方法でしょうか?
 単に射つ量を増やした練習方法が、過去の練習方法だとすると、今よりもレベルの低い(効率の悪い)練習する事になり、高い点数を出したいと思うのと逆の結果が出ます。
 もし得点の向上を目指して練習方法を変えるとしたら、未来の練習方法に変えるべきです、しかしながら未来の練習方法は誰にもわかりません。ですからこのように考えてみてください。
 今よりも少ない練習量で同じ効果が得られる方法。射つ本数を減らす練習方法。今よりも楽な練習方法などを考え実践することです。
 そして根性を鍛える、精神力を鍛える、練習量を増やすなど過去の非効率と思われる練習方法をしないことです。

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