話し方を研究しよう

 先日、プレゼンテーション講習会なるものを受講しました。2日間にわたる講習会は非常に有意義でした。
 そもそもプレゼンテーションというものは、相手の考え方を変えるためのものです。これはある種の交渉術と言えます。すなわち自分の言動で相手の行動を変えることが最大の目的であると言えます。
 この講習会の先生はアメリカで心理学を学びました。ですから受講内容も心理学の授業に近いところもありました。
 これはひょっとしてアーチェリーのコーチングにも応用できるでは?と考えましたので、その技術、テクニックを紹介します。


説明の内容は大きく次の2つに分けます。
1.してはいけない事。
2.しなければ成らないこと。
さらに上の2つを動作話し方の2つに分けて説明します。

1.してはいけない事。
動作編
腕を組んではいけません。
 前に腕を組んだ場合、その態度は受身となります。これでは相手に自分の考え、思いが届きません。
 後ろに腕を組んだ場合、態度が大きいと感じられ、話を聞くことに対して拒絶反応を起こします。
 初めに聞こうとする意欲を低下させてしまいます。
 コーチなのだから、偉そうな態度をとるべきだと考える人がいるかもしれませんが、それは間違いです。
 体育会系、すなわちコーチや先輩から言われたことに対して何も考えずに素直に従う。もはやこれは時代遅れの考えです。
 偉そうな態度をとると、それは何も考えずに素直に従う事を強要している事になります。
 何も考えずに練習だけで勝てる時代は終わったのです。

肩から上の身体に触ってはいけません。
 人間は不安になった時、無意識に顔に手を持っていきます。女性なら髪の毛を触ったりします。
 つまり、肩から上の身体に触ると、相手に自分が困っていることを知らせてしまいます。

話し方編
「えー」「あー」「思いますけれども。」などの言葉を言わない。
 「えー」「あー」などの不用意な言葉を言うと、伝えたい大切な言葉がぼけてしまいます。
 これらの言葉は、困っているときに発してしまいます。ですから相手に自分が困っていることを知らせてしまいます。
 人間の集中力には限界があります。「えー」「あー」などの言葉で、話が長くなるとそれだけで集中力が落ちてしまいます。
 「思いますけれども。」と言うセリフをよく聞きますが、これは逃げの言葉です。責任は取らないと言う表現です。
 「思いますけれども。」という言葉は、自分には関係の無い他人事であると相手に感じさせます。これでは相手の心を動かすことは出来ません。 

長い文章(セリフ)は使わない。
 文章が長いと重要な部分があいまいになり、記憶に残りません。

2.しなければ成らないこと。
動作編

 話すときに相手を見る。
 1対1の時は、相手を見続けると気まずいときがありますが、まったく目を合わせない人の言葉は信用出来ません。
 大勢に話すときは、全体の顔を見る。又は1つの文章をしゃべる間は誰かとアイコンタクトを取り続けてください。
 アイコンタクト(目を合わせる)をしないと、話が一方通行になります。話が一方通行であれば、話す人は不要です。
 相手の動作を見ることで、自分が話している内容にうなずいているかがわかります。


コミュニケーションをとる。
 相手に問いかけてください。相手に答えさせてください。
 話の中に参加しているという意識が生まれます。

ボディランゲッジ(身振り手振り)を使う。 
 身振り手振りは多くの情報を相手に与えます。
 相手に話の内容を速く理解させ、視覚にも作用し、記憶に残りやすくなります。

ナンバリングを使う。
 指を3本前に出し、「言いたい事は3つあります。」というように使います。
 インパクトを与えると同時に、視覚にもうったえる事が出来ます。つまり記憶に残りやすいと言うことです。
 内容は3つ以下にします。「言いたい事は5つあります。」はダメです。4つ以上有る場合は3つにして、その中に入れてください。
 例 言いたい事は3つあります。AとBとCです。そしてAはさらに2つに分けることが出来ます。それはアとイです。


話し方編
説明は全体を説明してから細部を説明する。
 細部から話し始めると、全体像がわかりにくく、結局何を言いたかったのかが不透明のまま終わります。
 全体をイメージできれば、1つの話が、次の話とどのように結びつくのかがわかりやすくなります。

質問を受けたら、すぐに答えてはいけない。
 なぜ、すぐに答えてはいけないのか?それは質問をしている人に主導権があるからです。
 A:これはなぜ○○なのですか? B:それは△△という理由からです。
 A:では**なのですね? B:そうです。
 A:◇◇という場合も同じですか? B:同じと考えます。
 A:では○○で●●の時は、どう考えたら良いのですか? B:その場合は・・・

このような会話が続くと、Aが攻撃、Bが守りになり、主導権をAに取られBの立場が苦しくなってきます。
 そこで、
 A:これはなぜ○○なのですか? B:なぜ○○なのかという質問でよろしいですか?
 A:そうです。 B:それは△△という理由からです。
 A:では**なのですね? B:○○だから**なのかと言う意味ですか?
 A:そうです。○○だから**なのではないかと考えたからです。 B:そうです。**になります。
 A:◇◇という場合も同じですか? B:○○ではなく◇◇という場合の質問ですか?
 A:はい、○○ではなく◇◇という場合です。 B:それは同じと考えます。
 このように質問に対して質問で返す、または質問を繰り返す(復唱する)事で、質問に対して答えを考える時間が生まれます。
 そして質問の答えに落ち着いて(ゆっくり)答える事ができます。
 なぜならこちらも同じ数だけ質問を相手にしているので、主導権を半分持っているからです。
 コーチとしてはあまり必要とは思えませんが、覚えておいて損は無いでしょう。

あらゆる質問を想定し、その答えを持つ。想定外の質問に対しては逃げれる返事を考えておく。
 答えるまでに3秒以上の不必要な時間が掛かった場合、その答えは信用されません。
 すぐに答えられない種類の質問に対しては、事前によい言い訳を考えておく事です。
例として
 その質問に関しての資料を、ただいま持ち合わせておりません。社に戻りましてすぐにご返事差し上げます。
 その質問に対してあやふやな数字は述べれませんので、正確な数字を確認してご返事差し上げます。

ユーモアを入れる。
 これは重要です。
 話は、まず聞いてもらって始めて成り立ちます。面白くない本は、最後まで読んでもらえません。
 ユーモアを入れることで、相手をリラックスさせます。そうする事で話に相手を引き込む事ができます。


例を出す。別の何かにたとえる
 具体例をだすことで、イメージしやすなります。
 別の例に置き換えて説明すると、理解しやすくなります。
 一般に予想できないようなたとえをすると、聞いている方はハッとし、たとえの関係(答え)を考えます。
 例 アーチェリーは、洋服みたいなものです。 ブランド品の服(高い弓・矢)を着ても、その人の身長や体格で似合ったり似合わなかったりします。大きすぎる服(重すぎる弓)や、ボタンの取れた服(チューニングの出来ていない弓)では寒さから身を守る(上達する)ことは出来ません。

他からの引用を使う。
 格言でも良いですし、ことわざでもOKです。
 権威付けを行うことによって説得されやすくなります。
 例 NHKのアンケート調査で、○○についてこのようなことが分かりました。それは何だかわかりますか? ○○が1番でした。

適切な接続詞を使う。
 「しかし」「ところが」などの逆説の接続詞は、インパクトがあり、話に相手を引き込みます。
 「・・ですけど」「・・と思いますが」などの接続詞は、前の発言をあいまいに否定します。
 その結果、インパクトに欠け、言いたいことがどちらなのか分からなくなります。
 「そして」「だから」「よって」などの順接の接続詞は、話がつながっている感じを与えます。
 支離滅裂な話になりやすい人は、順接の接続詞を意識して使ってください。

話し方に抑揚を付ける。
 抑揚をつけることで、話が聞きやすくなります。
 一本調子の話し方では、聞いている方も眠たくなります。

その他補足です。
 このページの説明は、この内容を意識して作って見ました。
 まず全体の構成を説明しています。文頭の青い文字の部分です。
 文章を短くしています。
 文章が長いと、書き出しの部分は次のようになります。

「先日、プレゼンテーション講習会なるものを受講しまして、2日間にわたる講習会は非常に有意義でした。
そもそもプレゼンテーションというものは、相手の考え方を変えるためのもので、これはある種の交渉術と言えます。すなわち自分の言動で相手の行動を変えることが最大の目的であると言えます。
この講習会の先生はアメリカで心理学を学んだ人で、受講内容も心理学の授業に近いところもありました。」
文章を読むと、差を感じにくいですが、この文章を誰かに読んでみもらってください。頭に入る度合いが違うのがわかります。

 このほかに話のテクニックとして、説明の理由を3つ挙げます。または言い換えを3つ行います。相手に理解してもらう為、同意を得るため、テンポを得るためです。(理由を3つ挙げています)
 出来ません、無理です、不可能です。
 練習です。たくさん射つことです。ひたすら訓練です。
 あきらめたら終わりです。それは逃げでしかありません。本当の努力というものを知っていますか?
 あなたの話し方で残念な所が3つあります。
 一つは、相手を見て話していません。
 もう一つは、点数を付けるとすると60点しかあげられません。
 最後の一つは、その60点は100点満点の60点ではなく、300点満点の60点だと言うことです。

 相手にこちらからのメッセージが十分届かなかったとしたら、それは相手の理解する能力が足りないのではなく、伝える側の能力が足りないのです。
 そして、より相手にうまく伝える努力をしないのは、コーチの仕事を放棄しているのと同じです。
 皆さんも話し方を研究し学んでください。そうすれば人に踊らされるのではなく、躍らせる側になることが出来ます。

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