距離と得点&ポンドの関係

 1200点を出すには、各距離で何点必要なのか? 30mで300点は、50mで何点に相当するのか? このような距離と得点の関係を知りたいと思っている人は多いと思います。
 得点は距離が遠くなれば、下がります。的が大きくなれば得点は上がります。
 経験的に50mと、70mは同じような点になることを知っています。男子で1100点を出そうと思うと、50mで280点、30mで320点ぐらいが必要だということも経験を通じて知っています。
 そこで、その疑問にひとつの答えを出してみました。
 方法として、「かってにランキング」に載っている2000年から2003年にかけての4年間のデーターをもとに距離と得点の関係を探ってみました。
 30mの得点を基準として、そのときに50mは、70(60)mは、90(70)mは何点だったのかを調べていました。
 結果は下の表に示すようになりました。グラフは、黄色の部分が密度が高く、灰色の部分は密度が低くなっています。
 シングルの図だけは、縦軸が30mの得点になっていますので注意してください。

 女子の得点状況

 男子の得点状況

 問題は、このグラフをどうのように見るかという事です。

 平均を取れば良いような気がしますが、そんな簡単な話でもなさそうです。なぜなら、得点の分布が、均等でないからです。下の図のように青い線のように左右対称な分布でなく、赤い線のような分布になっているからです。平均より高い点は出にくいですが、低い点を出すのは簡単だからです。

 もう一度密度の分布を描いた図を見てください。黄色より上の幅よりも、下の幅が大きいのが分かると思います。

 いろいろ計算しましたが、100人いて、50番目の人の得点を基準にするという考えが最も適していると思ったので、それを基準にして話を進めます。
 (100人いて、その真ん中の人の得点を中央値といいます。100人の得点をすべて足して、100で割ったのが、平均値です。100人いて、最も多かった得点を最頻値といいます。今回は中央値を基準に考えます。)
 (本当は最頻値で考えるのが一番良いのですが、その場合データー数が多くないと誤差が大きく、正確な値が出せません。今回は1万2000以上のデーターをもとにしていますが、これでもデーター数は少ないのです。ですが、今回の分布のは、運が良いことに最頻値と中央値がほとんど同じ値なので、中央値=最頻値と考えました。つまり確率の一番高い得点を基準として考えたのです。)

 中央値、最頻値、平均値の大雑把なイメージを示しておきます。(あくまでもイメージです。)

 では各データーを見ることにしましょう。
 男女別で、30mを基準としたときの各距離の得点分布と、それに合う曲線を引いてみました。

 300点以下から誤差が目立つようになり、270点以下ではその誤差が特に大きくなります。
 このグラフの結果だけ見ても、まず30mで300点以上出さないと長距離で得点が安定しないと言うことが分かると思います。
 また30mの得点が上がると、長距離の点がそれ以上に上がることを示しています。

 次にシングルの得点を見てみましょう。

 これで分かることは、30mで300点なら、男子の場合シングルでおよそ1000点、女子の場合シングルでおよそ1050点になるということです。

 グラフではなく、表で得点の関係を見てみましょう。

30mの得点女子50m女子60m女子70m女子合計男子50m男子70m男子90m男子合計
240181.5218.5178.6828.8179.6178.1120.7733.5
245186.1222.1183.0843.9184.6183.1126.0751.5
250190.9225.8187.5859.6189.7188.2131.5770.0
255195.8229.7192.2875.8195.0193.5137.2789.2
260200.8233.6197.0892.5200.4198.9143.1809.0
265206.0237.6202.0909.9206.0204.4149.2829.5
270211.3241.8207.1927.9211.6210.1155.5850.5
275216.8246.0212.4946.4217.4215.9162.0872.2
280222.3250.3217.7965.6223.4221.8168.8894.6
285228.0254.8223.3985.4229.4227.9175.7917.6
290233.9259.3229.01005.9235.6234.1182.9941.2
295239.9263.9234.81027.0242.0240.4190.3965.5
300246.0268.7240.71048.7248.4246.9197.9990.5
305252.3273.5246.91071.1255.0253.6205.81016.2
310258.7278.5253.11094.1261.8260.3213.81042.5
315265.2283.6259.61117.8268.7267.2222.21069.5
320271.9288.7266.21142.2275.7274.3230.71097.3
325278.7294.0272.91167.3282.9281.5239.51125.7
330285.7299.4279.81193.1290.2288.8248.51154.9
335292.8304.9286.81219.7297.6296.3257.81184.8
340300.0310.5294.01246.9305.2304.0267.31215.4
345307.4316.2301.41274.8312.9311.7277.11246.7
350315.0322.0308.91303.5320.8319.6287.11278.8
355322.7327.9316.61332.9328.8327.7297.41311.6
360330.5333.9324.51363.1337.0335.9308.01345.2

 各グラフに描いた曲線の式は、Y=aX^b+cで、a、b、cは係数、Yは各距離の得点、Xは30mの得点です。

 a(×1/10000) bc
女子50m2.452.3587.6
女子60m2.432.31143.8
女子70m1.022.4994.8
女子合計0.592.79574.1
男子50m4.532.2574.3
男子70m3.912.2874.2
男子90m0.232.7730.5
男子合計2.012.61408.0

 各距離の合計とシングルの得点が少し違いますが、これは中央値を基準に考えたためで、間違いではありません。
 この表からも色々な事が分かります。男子で1100点の標準的な得点配分は、90m 230点、70m 274点、50m 276点 30m 320点だということです。そしてこの得点と比較して大きくズレている場合、たとえば70mで280点が出せるのに50mで270点しか出ないのであれば、実力以外の別の要素がはたらいていると考えたほうが良いと思います。
 さらに見た目の的の大きさと、得点は簡単に比例しないと言うことが分かります。
 見た目の的の大きさとは、15mの40cm的と、30mの80cmが同じということです。(15×2=30 40×2=80) 
 50mで80cm的なら、75mで120cm的と見た目同じ大きさになります。(50×1.5=75 80×1.5=120)
 実際、50mの80cm的と、75mの120cm的が同じ大きさに見えるのですが、120cm的を5m短い距離で打っているのに70mの得点は50mの得点より低くなっていますが、それを表しています。

 次に男女間の得点の違いについて見てみましょう。
 男子では50mと70mはほとんど同じ得点になりますが、女子では50mと70mを比較すると、70mの方が4〜6点ほど低い点になっています。
 30mの得点が同じでも、50mで男子と女子の差が0〜5点、70mでは3点〜10点の差があります。
 この差の原因として考えられるのがポンドの差です。一般的に男子の方が女子よりも強い弓を引いています。このポンドの差が得点に現れたのだと考えられます。

 この得点の差がポンド数の違いならば、ある問題に対しての答えが得られます。
 それは、ポンドを上げたら、弓を強くしたら何点得点が上がるかということです。
 男子と女子の平均的なポンド数の差がどのくらいなのか、明確な資料が無いので分かりませんが、仮に5ポンドから10ポンドの差があるとしましょう。30mで300点の実力の人がポンドを5ポンドから10ポンド上げたとして、50mで約2.5点、70mで約6点上がるだけです。30mで330点の実力の人場合は50mで約4.5点、70mで約9点上がるだけです。
 70mで280点の人がポンドを5ポンドから10ポンド上げたとして、290点になるだけです。
 このポンドによる得点差を大きいと見るか小さいと見るかですが、5ポンドから10ポンド弓を強くするのは、かなり大変なことです。強い弓を引くことでの悪い面も考慮に入れると、このポンドアップによる点数アップのメリットは少ないと思います。
 ポンド数が高いことによる点数的なメリットは間違いなくありますが、1ポンド上げることで、70mで1点か2点しか利点がないのであれば、無理なポンドを引いてフォームを崩すようなことがあったり、押し手が震えるようであれば、まったくメリットが無いということになります。
 逆に男子が5ポンドから10ポンド弓を弱くしても70mで10点得点が下がるだけです。ですから、体力、筋力以上の弓を使うメリットは少ないと思います。無理なく引ける弓、引きこなせる弓を使うのが一番いい気がします。

 さてここで別の見方をしてみましょう。
 今までは、30mの得点から他の距離の得点を推測しましたが、今度はトータルの点から各距離の点を調べて見ます。
 900点から50点間隔で1300点までを調べました。
 データー数を増やすために、トータルの得点の前後5点を同得点としました。たとえば995点から1005点までを1000点として考えました。
 この場合は、得点の幅が狭く分布が均一なので、単純に平均点で考えました。

 女子の得点
女子シングル 900 950 1000 1050 1100 1150 1200 1250 1300
70m 188.1 206.9 221.7 234.4 251.5 265.7 283.9 297.7 312.7
60m 228.4 243.0 254.2 263.9 277.2 290.4 303.2 315.1 328.6
50m 206.5 214.4 231.3 247.3 259.9 273.2 287.1 301.6 315.6
30m 277.0 285.7 292.8 304.4 311.4 320.7 325.8 335.6 343.1

男子の得点
男子シングル 900 950 1000 1050 1100 1150 1200 1250 1300
90m 157.8 173.6 196.1 209.8 228.0 247.0 265.5 283.7 302.1
70m 222.9 237.3 248.1 263.4 274.4 287.4 299.2 312.7 325.0
50m 226.9 239.8 250.7 263.6 276.4 288.6 301.2 312.8 324.8
30m 292.4 299.3 305.1 313.2 321.2 327.0 334.1 340.8 348.1

 30mから考えた各距離の得点と、トータルからみた各距離の得点にかなり差があると思いますが、これも間違いではありません。
 ではどういうことかというと、30mの得点が同じでも、長距離で得点の良い人はトータルの得点が高くなるからです。
 当たり前かもしれませんが、全体の得点は、30mの得点の出来よりも、長距離の得点による影響が大きいからです。
 30m以外の距離ですべてが良い得点とはかぎりません。70mがよくても、50mが悪いかもしれません。シングルで得点の高い人は各距離がたまたまよかったので、合計が高いのです。
 30mで330点の実力の人は、1200点を出す場合もありますが、1100点しか出ない場合もあります。1200点を出した時、それは長距離の得点が良かったときに決まっているからです。長距離の得点が悪かった時は、1200点は絶対に出ないからです。
 もう少し詳しく見てみましょう。女子の場合、1200点以下の場合は30mから推測した得点と比較して長距離の得点が低いです。逆に1200点以上では長距離の得点が高くなっています。
 男子の場合、1150点以下の場合は30mから推測した得点と比較して長距離の得点が低く、1150点以上で長距離の得点が高くなっています。
 面白いことに、合計点からみた各距離の変化は、ほとんど直線的に変化します。下のグラフを参照してください。

 どちらの得点を信じたらいいのか? 疑問を持つ人も多いと思います。30mの得点から推測した各距離の得点は、その人の実力、その距離で出すことが可能な得点を表していると考えることが出来ます。30mの実力が上がれば、長距離の得点が飛躍的に上がることが分かります。
 一方、合計点から推測した各距離の得点は、目標得点に必要な各距離の得点を表していると考えることが出来ます。

 長々と書きましたが、勘違いの無いように補足します。
 今回の30mから考えた各距離の得点は平均点ではなくて、その点を出すのが確率的に高いという得点だと言うこと。
 「かってにランキング」に載っている記録を資料にした、ということは、女子なら70m、男子なら90mを試合で打てるレベルの人だと言うことです。
 弱い弓を引いている初心者が、30mで300点以上出したとしても、70mで240点以上出るということにはならないということです。
 当然ながら、雨の日の試合、風の日の試合、それらすべての試合の得点を資料にしています。条件が一定であれば、得点の分布はもう少し小さくなると思います。
 得点の資料はありますが、引いている弓のポンド数の資料が無いので、点の高い人も、低い人も同じポンドとして考えています。
 そもそも点の高い人は強いポンドを引いている。というのであれば、ポンドを上げることのメリットに関する考え方は変わってきます。
 練習が少ない人は弱い弓、練習の多い人は強い弓という傾向があるのであれば、点数は弓の強さの問題ではなくて、練習量の問題になります。
 この結果をみて何かの参考にしていただければ幸いです。

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