家相・風水

 建築の設計をしていると、お施主さんから突然、このプランは家相あるいは風水上問題があるから、このように変更してほしいといわれることがあります。また中には、家相・風水を売り物にしている設計事務所もあるようです。

 そんな時に、家相とか風水とは如何なるものなのかをある程度知っておく必要があると思います。家相・風水とも出発は経験上の環境工学から始まったものと考えられています。宮野秋彦博士によれば、もっともポピュラーな鬼門・裏鬼門の方角は、古代から中国の都であった洛陽、西安の風向きと一致しているとされています。つまり、鬼門の方角から風が吹くと鬼門上にあるトイレの臭いは建物内に充満し、裏鬼門の方角から風が吹けば裏鬼門上の 台所の出火で建物が全焼するということです。この経験から鬼門・裏鬼門が決められたと想定されるのです。家相・風水といっても本来はこのようなものであったのが、時代を経て陰陽道等と結びついて現在に至ったものと考えられます。

 このような経緯を見れば、環境工学を設計に取り入れる重要性は今も昔も変わらないことですが、場所等の条件が違えば環境も大きく異なりますので、方角による一律の法則というものには疑問があります。具体的には、 鬼門・裏鬼門の方角の風向きの場所では、トイレ・台所の位置をその方角から外す正当性は認められますが、そうでなければあまり意味がないといえます。

 なお、家相・風水は膨大な統計学に基づいているという人もありますが、地相(家相の規模を大きくしたもの)・風水を用いて計画された中国、朝鮮、日本の都が何度も破壊されていることを考えると、それもどうかと思います。

 いずれにしましても、家相・風水を鵜呑みにするのではなく、その地域の風土に根差した設計を心掛けていくことが必要ではないでしょうか。



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